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2024/12/03
溶融亜鉛めっきの不めっき処理とは?失敗例や最新の不めっき剤を紹介

「溶融亜鉛めっきの不めっき処理がうまくいかない…。」「そもそも不めっき処理って何?」このようなお悩みや疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

溶融亜鉛めっきの不めっき処理は鋼材のとある箇所で必要な工程ですが、適切な方法で処理しないと失敗してしまい、余計な労力が発生してしまう厄介な存在です

本記事では溶融亜鉛めっきの不めっき処理について失敗例を交えてわかりやすく解説しています。

記事の終盤では最新の不めっき剤も紹介していますので、不めっき処理について詳しく知りたい方は必見です。

 

溶融亜鉛めっきの不めっき処理が必要な箇所

溶融亜鉛めっきの不めっき処理とは、鋼材の特定の部分に亜鉛が付着しないようにするために行う処理のことです

溶融亜鉛めっきは鋼材の耐食性を向上させる表面処理ですが、以下の箇所ではめっきがあることで不都合が生じることがあります。

  • 高力ボルト接合面
  • 溶接部
  • ボルト・ナット・ソケットなどのネジ部

不めっき処理が必要となる箇所について詳しく見ていきましょう。

 

高力ボルト接合面

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橋梁などの大型構造物では高力ボルトによる摩擦接合が多用されており、ここで重要となるのが「すべり係数」です。

すべり係数とは摩擦面のすべりにくさを表す値であり、溶融亜鉛めっき処理をした鋼材の表面はツルツルしているため、何も処理をしないと規定のすべり係数を確保できなくなる恐れがあります

鋼構造設計基準では高力ボルトの接合面のすべり係数を0.45以上確保するように定められていますが、溶融亜鉛めっき部にそのまま高力ボルトを取り付けると0.15〜0.35程度の数値しか得られません。

従って、鋼材で高力ボルト接合面となる箇所はあらかじめ不めっき処理を行うか、めっき後に※1リン酸塩処理や※2ブラスト処理を行ってすべり係数を確保する必要があります。

※1 リン酸塩処理:リン酸と亜鉛を反応させて粒状・針状のリン酸亜鉛結晶を作り、表面粗さを上げる方法

※2ブラスト処理:めっき面に粒子状の無数の研磨剤をぶつけることで、表面粗さを上げる方法

 

溶接部

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めっき後に溶接される箇所も以下2つの理由から不めっき処理が必要です。

  • 亜鉛の鋼材中への浸透による割れを防ぐため
  • 溶接加熱時の亜鉛蒸気(酸化亜鉛ヒューム)を回避するため

前者は「亜鉛脆化(ぜいか)」と呼ばれており、溶接による高温が原因で鋼材中に亜鉛が拡散されてしまい、強度が落ちる現象です

後者の亜鉛蒸気はめっき部を溶接することで発生するもので、作業者が吸引すると発熱症状を引き起こす可能性があります

どちらもあらかじめ鋼材に不めっき処理を行うことで防ぐことができるトラブルです。

 

ボルト・ナット・ソケットなどのネジ部

鋼材にあるボルトやナット、ソケットなどのネジ部に亜鉛がたまっていると、嵌合不良の原因となります

亜鉛めっき後にタッピングと呼ばれる加工を行ってネジ山を立てる方法もありますが、あらかじめ不めっき処理を行うことで後の手間を軽減可能です。

 

溶融亜鉛めっきの不めっき処理の方法

溶融亜鉛めっきで不めっき処理を行うには、該当箇所を「マスキング」するのが一般的です

ガムテープの貼り付けや耐薬品性の高いエポキシ樹脂塗料を塗布した上から耐熱テープで保護することで不めっき処理を行います。

また溶融亜鉛めっきをした鋼材でボルト接合や溶接を行う場合は、後で該当部分のめっきを除去することもあります。

タッピングやブラストなど物理的な方法で除去するため、かなりの手間がかかるのが欠点です

 

溶融亜鉛めっきの不めっき処理が失敗するケース

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溶融亜鉛めっきの不めっき処理は失敗することが珍しくありません。特に以下のケースでは失敗が多いといえます。

  • ガムテープなどのマスキングでの失敗
  • 塗料の混合比率による失敗
  • 素材の脱脂不足による失敗

それぞれのケースを確認していきましょう。

 

ガムテープなどマスキングでの失敗

溶融亜鉛めっきは鉄の素地に亜鉛を溶着させる方法で、前工程で脱脂液と酸洗液を使って、鉄の素地をキレイな状態にします。

逆を言うと、鉄の素地を出さずにしておけばめっきは付着しないため、不めっき処理ではマスキングが一般的です。

マスキングではガムテープを使うことも多いですが、しっかりとマスキングできてない状態で処理を行うと、隙間から不めっき部分に脱脂液と酸洗液が流れ込んでしまい、めっきが付着するので、不めっき処理は失敗します

 

塗料の混合比率による失敗

従来の不めっき処理では、塗料液と硬化剤を混ぜて使用する2液タイプの塗料が多く使われています。

耐薬品性が高いエポキシ樹脂塗料が主流のため、しっかりとした塗膜ができれば、前工程の脱脂液や酸洗液にも耐えられるのが特徴です。

ただし、2液タイプの塗料は混合比率を間違えると塗膜の性能を発揮できないという欠点があり、不めっき処理の原因となります

 

鋼材の脱脂不足による失敗

2液タイプの塗料の混合比率が合っているのにも関わらず不めっき処理が失敗するのは、鋼材の脱脂不足が主な原因です。

鋼材には油分が付着していることが多く、脱脂が不十分な状態で塗装を行うと、塗膜が密着せずにめっき工程中に剥離してしまいます

ガムテープでのマスキングも同様で鋼材の脱脂を行っていないと不十分な接着となり、不めっき処理が失敗する原因となるので注意しましょう。

 

水性一液タイプの不めっき剤『めっきガード』

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鋼材の不めっき処理にはいくつかの方法がありますが、解説してきたとおり失敗することも珍しくありません。

そこで提案したいのが以下3つの特徴を持つ水性一液タイプの不めっき剤『めっきガード』です。

  • 水性一液タイプなので混合比率を気にしなくてよい
  • 特化則・有機則対応で環境に優しい
  • ペーストタイプはねじ部の不めっき処理にも有効

それぞれの特徴を簡単に確認していきましょう。

 

水性一液タイプなので混合比率を気にしなくてよい

従来の不めっき処理で使用されていた2液タイプのエポキシ樹脂塗料とは違い、『めっきガード』は一液タイプなので、混合比率を気にする必要がないのが特徴です。

また水性塗料のため、鋼材に油分が残っているとはじかれてうまく塗布することができません。

仮に脱脂不足だったとしても塗料が塗布できないことで気づくことが可能です。

『めっきガード』は塗料の混合比率による失敗と脱脂不足による失敗が起こりにくいのが最大のメリットだと言えるでしょう。

 

特化則・有機則非該当で環境に優しい

『めっきガード』は水性塗料であり、特化則や有機則の非該当品となります

従来のエポキシ樹脂塗料は有機溶剤を含むものが多く、作業者や環境に対する負荷がかかるのが欠点でした。

『めっきガード』を使用することで作業者の健康や環境に配慮した不めっき処理が可能です。

 

ペーストタイプはねじ部の不めっき処理にも有効

『めっきガード』には塗料タイプとペーストタイプの2種類があり、ペーストタイプはねじ部の不めっき処理にも有効です。

ねじ部は塗装するのが難しい箇所ですが、ペーストタイプの『めっきガード』でねじ部を覆うように塗布することで不めっき処理が比較的容易にできます

従来の捨てボルトや耐熱粘土の処理と比べて前処理も後処理も時短が可能です。

 

溶融亜鉛めっきの不めっき処理は日新インダストリーにお問い合わせを

溶融亜鉛めっきの不めっき処理は高力ボルト接合面や溶接部の必須の処理ですが、適切な方法で処理しないと失敗してしまい、余計な労力がかかることになります。

不めっき処理の失敗を起こさないためには、最新の不めっき剤である『めっきガード』がおすすめです

水性一液タイプで環境にも優しく、従来の方法よりも容易に不めっき処理ができます。

『めっきガード』の詳しい情報は以下の商品ページからご確認いただけます。気になる方はお気軽にお問い合わせください。

■不めっき剤『めっきガード』の商品ページはこちら

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