豆知識
2024/12/03
溶融亜鉛めっきは高い耐食性を誇る!耐食性を保つポイントを解説
常識にとらわれない発想と技術で、お客様の期待を超える新しい価値を創造し、溶融亜鉛めっきを支えるベストパートナーとなることが当社の使命です。
そのためにも、お客様とのコミュニケーションを大切にしながら、今後も、皆様からの要望をもとに、製品の開発や改善、サービスに活かしてまいります。
FAX:03-3232-6953
24時間受付
「鋼材に溶融亜鉛めっきをしておけば、いつまでも使えるの?」とお考えの人もいるかもしれません。
確かに溶融亜鉛めっきは高い耐食性を誇るのが特徴ですが、耐食性は使用する環境によって大きく異なります。
本記事では溶融亜鉛めっきが高い耐食性を誇る理由を解説して、大気中や水中など環境の違いでの耐食性についてわかりやすく解説しています。
記事の終盤では耐食性を保つためのポイントも解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
溶融亜鉛めっきが高い耐食性を誇る理由
溶融亜鉛めっきが高い耐食性を誇るのは、以下2つの作用があるためです。
一見とっつきにくい言葉ですが、めっきの原理が分かれば理解するのは難しくありません。それぞれの作用を確認していきましょう。
犠牲防食作用
溶融亜鉛めっきは鋼材の表面に「亜鉛」を付着させる加工です。
亜鉛は鉄よりもさびやすいという金属的な特徴があり、めっき面に傷が入っても鉄より亜鉛が先に溶けだして鉄を保護する「犠牲防食作用」があります。
同じ鉄の耐食性を高める塗装の場合、表面に傷が入るとそこから腐食が進んでいきます。犠牲防食作用は亜鉛特有のものであり、溶融亜鉛めっきは塗装よりも高い耐食性を誇るといえるでしょう。
保護皮膜作用
溶融亜鉛めっきのもう1つの特徴が、鉄に亜鉛の酸化皮膜を形成する「保護皮膜作用」です。
保護皮膜作用とは、大気中の酸素によって亜鉛の表面に緻密な酸化皮膜ができることで、酸素や水分が通りにくくなる作用のことを指します。
亜鉛の表面に酸化皮膜があることで、亜鉛の腐食が進みにくくなるため、さらに下部にある鉄の保護にもつながる作用です。
この保護皮膜作業は、大気中だけではなく水中や土壌中でも効果を発揮します。
溶融亜鉛めっきの各条件での耐食性について
溶融亜鉛めっきの耐食性は、設置される場所や条件によって大きく異なります。
上記3つの条件での溶融亜鉛めっきの耐食性を確認していきましょう。
大気環境での耐食性
地域
腐食速度(g/m2/年)
耐用年数
都市・工業地帯
8.0
62
田園地帯
4.4
113
海岸地帯
19.6
25
引用:一般社団法人日本溶融亜鉛鍍金協会「溶融亜鉛めっきの耐食性」
上の表は亜鉛付着量が550g/m2の鋼材で、めっき皮膜の90%が消耗するまでの期間を計算したものです。
都市部では1年間で8.0g/m2のめっき皮膜が消耗され、62年後にめっき皮膜が90%以上消費されることを表しています。
同じ大気中であっても海岸地域の方が田園地帯と比べて圧倒的にめっき皮膜が消費されていますが、これは海から飛来する塩分が影響しています。
塩分がめっき表面に付着すると電気化学反応が活発になって亜鉛の酸化が促進されるため、めっき皮膜の消耗が速くなるというメカニズムです。
大気中には酸素や塩分の他にも、大気汚染物質や腐食性ガスもあり、地域によって耐食性に違いがあると覚えておきましょう。
水中での耐食性
画像引用:一般社団法人日本溶融亜鉛鍍金協会「溶融亜鉛めっきの耐食性」
上の図はめっき皮膜の溶解と水中のpH(左図)・温度(右図)の関係を表したものです。
まずpHを見てみると、pH6~12の間ではめっき皮膜が安定しており、高い耐食性を示すことがわかります。
逆を言うと、強酸性や強アルカリ性の水中では急激にめっき皮膜の溶解が進み、耐食性を保てなくなるということです。
次に温度を見てみると、65℃付近で急激にめっき皮膜の溶解が進み、80℃付近になると逆に溶解は収まることがわかります。
このように溶融亜鉛めっきが水中でも高い耐食性を示せるかどうかは、pHや温度などの水質に影響を受けるため、あらかじめ設置する環境の水質を知ることが大切です。
土壌中での耐食性
土壌中での溶融亜鉛めっきの耐食性は、土の通気性や含水量、pHなど多くの要因が複雑に絡んでくるのが特徴です。
水中に設置する場合と同様にあらかじめ設置する環境の土壌を調査する必要があるといえるでしょう。
水中での耐食性と同様にpH値が中性に近い土壌であれば高い耐食性を示す一方で、酸性やアルカリ性が強い土壌ではめっき皮膜の溶解が進みやすくなります。
溶融亜鉛めっきの耐食性を保つポイント
溶融亜鉛めっきの耐食性を長く保つためには、以下2つのポイントが重要です。
2つのポイントについて掘り下げて確認していきます。
用途に合わせてめっき厚さを設定する
解説してきたとおり、溶融亜鉛めっきの耐食性は設置する環境によって大きく変わるため、用途に合わせてめっき厚さを設定することが大切です。
例えば、海岸地域に設置するもので都市や工業地帯と同様の耐用年数が必要であれば、めっきの厚みを約2.5倍にする必要があります。
しかし、溶融亜鉛めっきを厚くすると脆さが増すため、割れや剥がれなどの不具合が起こる可能性が高くなるので注意が必要です。
定期的に点検して補修する
溶融亜鉛めっきはめっき皮膜が年々消耗していくのが特徴です。
そのため、定期的に点検を行い、必要に応じて補修することで耐食性を保つことができます。
溶融亜鉛めっきの補修には、亜鉛末が含まれている『ジンク塗料』がおすすめです。
ジンク塗料を使えば、溶融亜鉛めっきの風合いそのままに補修できます。一般的な塗料とは違い亜鉛末が含まれているため、犠牲防食作用や保護皮膜作用も期待できるのが特徴です。
溶融亜鉛めっきの補修なら日新インダストリーにご相談を
溶融亜鉛めっきは高い耐食性を示すことが特徴ですが、使用する環境によっては耐用年数が異なります。
めっき皮膜の消耗が激しい環境で使用する場合は、定期的に点検を行い、場合によってはジンク塗料で補修することで耐食性を保つことが可能です。
溶融亜鉛めっきの補修剤でお困りの方はお気軽に日新インダストリーまでお問い合わせください。
お客様の状況をヒアリングして、最適なめっき補修剤を提案いたします。