コラム

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技術資料
2022/02/02
亜鉛含有率と防錆力

鉄をさび、腐食から守る溶融亜鉛めっき

溶融亜鉛めっきの補修に使用されるジンクリッチペイント

 その両方に大きく関わってくるのが亜鉛含有率です。

本コラムでは、亜鉛含有率と防錆力の関係についてふれてみたいと思います。

 

溶融亜鉛めっきの防錆力

 

溶融亜鉛めっきは、鋼材を高温で溶かした亜鉛の中に浸して、表面に亜鉛の被膜を形成する加工技術です。

 

鋼材の上に亜鉛の層を付加することで、鉄をさび、腐食から守り、高い耐食性により、建築物や、鉄塔、ガードレール、街路灯ポールなど、身近なものにたくさん使われています。

 

 

溶融亜鉛めっきの耐用年数については、使用環境による亜鉛の腐食速度と亜鉛の付着量から次式で計算できるとされています。

 

亜鉛含有率と防錆力

 

つまりは、亜鉛付着量が多いほど耐用年数が長く、防錆効果が高いとされており、亜鉛付着量が防錆性能の基準の一つになっています。

 

亜鉛付着量と環境別耐用年数のグラフを見ても分かる通り、亜鉛の付着量と耐用年数は比例の関係にあります。

 

亜鉛含有率と防錆力

 

ジンクリッチペイントと亜鉛含有率について

 

当社が取り扱う1液タイプの有機ジンクリッチペイントにはJIS規格などがなく、溶融亜鉛めっきと同様の防錆機構という観点から、溶融亜鉛めっきの理論を参考にするところがあります。

 

そのため、乾燥塗膜中に含まれる亜鉛の含有率が高いほど、亜鉛の付着量が多くなり、それに伴って防錆力も上がるということです。

それでは、当社のジンクリッチペイントの亜鉛含有率を比較してみましょう。

(品名をクリックすると製品ページに飛びます!)

 

品名

ジンクZ96 スーパージンク リペアジンク ラスタージンク

亜鉛含有率

96% 92% 84% 82%

使用顔料

亜鉛 フレーク亜鉛 亜鉛+アルミ フレーク亜鉛+アルミ

色調

グレー シルバーグレー シルバー ライトシルバー

 

上記表の通り、亜鉛の含有率が高いほど、仕上がりの色調は暗くなります

 

新設の溶融亜鉛めっきはピカピカしているため、単に亜鉛含有率が高いものを使用すると補修箇所と周囲の色との差異が目立つことがあります。

 

設置から年月が経った溶融亜鉛めっきは初期のピカピカした色から、落ち着いたグレー色に変化するので、補修時の周囲の色に合わせて最適な補修塗料を選択することができます。

 

防錆力を強化したい場合は、ジンクZ96を下塗りに使用し、補修箇所の色調に合わせてラスタージンクを上塗りするといった方法がよく採用されます。

 

 

亜鉛含有率だけに着目した場合、ジンクZ96の96%と、ラスタージンクの82%という数値を比較すると、ラスタージンクは亜鉛含有率が低く、防錆力も低いのではないかと思うかもしれません。

 

しかし、塗料全体の構成を見ると亜鉛とアルミで構成されるリペアジンクやラスタージンクも

亜鉛の含有率で比べるとジンクZ96 やスーパージンクよりも低い数値ですが、顔料の含有率と言う点では引けを取らす、防錆力も十分あります。

 

 

 

また、高耐食性めっきに対応すべく開発された補修塗料「MAZAX®」(クリック!)は、亜鉛含有率は80%と決して高いとは言えませんが、高耐食めっきに合わせた亜鉛・アルミ・マグネシウムを配合しており、亜鉛含有率90%以上のジンクリッチペイントよりも高い耐食性を発揮します。

 

 

≫コラム マザックス開発秘話

https://www.nissin-industry.jp/column/1635834480-244761

 

≫マザックス製品ページ

https://www.nissin-industry.jp/mazax/

 

 

このように、防錆性能は亜鉛だけでなく他の顔料や樹脂の性能(腐食因子遮断効果や耐水性能等)も大きく影響する為、製品開発には亜鉛含有率だけでなく、樹脂や添加剤の構成も重要になってきます。

 

 

ジンクリッチペイントの研究開発は、亜鉛を使用した最良の構成・配合の追求へと、現在も続いています。

 

変化していく亜鉛めっきの亜鉛含有率

 

昨年、日本製鉄株式会社より、新高耐食めっき鋼板「ZEXEED™」販売開始のプレスリリースがありました。

 

既に日本製鉄株式会社には、高耐食めっき鋼板「SuperDyma®」や「ZAM®」がありますが、

マーケットからは更なる高耐食性のニーズが寄せられ、この「ZEXEED™」を開発するに至ったとのことです。

 

「ZEXEED™」は、従来の高耐食めっきを大幅に上回る優れた耐食性能を有していると発表しています。

 

この「ZEXEED™」は、亜鉛を主成分に、19%のアルミニウム、6%のマグネシウム、微量のシリコンが配合されており、今までのめっき鋼板より亜鉛の含有率が少ないことがわかります。

 

このことからも亜鉛含有率が必ずしも防錆力と比例しないことが見て取ることができると思います。

 

 

総括

塗料も鋼板も設計次第では、亜鉛含有率が高くなくとも優れた防錆効果を得ることができると当社は考えます。

より優れた防食性が求められ続けている今日、亜鉛含有率だけにとらわれることなく、防錆性能を向上させることこそ開発者の腕の見せ所といえるかもしれません。

 

 

↓本コラムに登場した製品ページはこちら↓

 

マザックス®(亜鉛80%・アルミニウム6%・マグネシウム3%含有)

https://www.nissin-industry.jp/mazax/

 

ジンクZ96(亜鉛含有率96%)

https://www.nissin-industry.jp/zincz96/

 

スーパージンク(亜鉛含有率92%)

https://www.nissin-industry.jp/superzinc/

 

リペアジンク(亜鉛含有率84%)

https://www.nissin-industry.jp/repairzinc/

 

ラスタージンク(亜鉛含有率82%)

https://www.nissin-industry.jp/lustrezinc/

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