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法律関係
2021/12/27
溶融亜鉛めっきのJIS規格の改正について

令和 3 年 12 月 20 日付で

溶融亜鉛めっきに関する日本産業規格(JIS 規格:JIS H 8641 及び JIS H 0401)

が改正されました。

 

本コラムでは今回の改正について触れてみたいと思います。

 

 

 

まず先に本件については、日本溶融亜鉛鍍金協会ホームページにて、お知らせ及び改正内容が掲載されております。

本コラムにて参考・引用させていただいておりますので、予めご容赦願います。

 

 

 

一般社団法人 日本溶融亜鉛鍍金協会 

https://www.aen-mekki.or.jp/

 

引用元

一般社団法人 日本溶融亜鉛鍍金協会

溶融亜鉛めっきに関するJIS規格の改正について

https://www.aen-mekki.or.jp/tabid/94/Default.aspx?itemid=624&dispmid=419

溶融亜鉛めっきの規格

https://aen-mekki.or.jp/mekki/tabid/81/Default.aspx

 

 

 

 

では本題です。

 

まず今回改定された溶融亜鉛めっきに関する日本産業規格(JIS規格:JIS H 8641 及び JIS H 0401)は、素材(鋼材、鋼材加工品、鋳鍛鋼品及び鋳鉄品)に防食の目的で施す溶融亜鉛めっきの有効面の品質について規定したものです。 

 

 

 

 

旧規格と実情について

 

これまでの溶融亜鉛めっきの規格は、種類・記号は表1の通りに分類され、要求品質特性は表2の通り付着量及び硫酸銅試験の回数、密着性試験のハンマー試験で規定されていました。

 

 

表-1 (旧規格)種類の記号と適用例

 

 

 

表-2 (旧規格)付着量及び硫酸銅試験回数

 

 

ただ実態は以下の理由から、めっき皮膜を膜厚測定し品質管理する方法が広く普及しています。

 

・受渡当事者間の協定によって

 膜厚から換算して付着量を求めることも許容されていること

 

対応国際規格(ISO1461:2009)では要求品質特性を膜厚としていること

 

・膜厚測定は簡便であり、膜厚計の測定精度は十分信頼できるものとなっていること

 

 

そこで今回の改正では、実態対応国際規格に合わせて、要求品質特性を膜厚としその試験方法はめっき皮膜の膜厚測定と規定されました。

 

 

 

 

実態・国際規格に合わせた新規格

 

膜厚に関しての新しい規定に合わせて表-3の通り、種類の記号が新たに付与されています。

 

 

表-3 (改定)種類の記号及び膜厚(JIS H 8641 の表 1 及び表2参照)

 

 

従来の規格との比較は表-4の通りです。

 

 

表-4 膜厚と付着量との関係(JIS H 8641 の解説表 1 参照)

 

 

旧規格「HDZ55」(規格:付着量550g/㎡以上)は、

新規格では「HDZT77」(規格:77μm以上)となっています。

 

規格名称変更に伴い、従来の適用例は

「過酷な腐食環境下で使用される鋼材・鉄鋼品及び鋳鍛造品類」でしたが、

「厚さ6mm以上の素材」という表現に変わりました。

 

 

 

規格変更についてのまとめ

 

 本改正(JIS 規格:JIS H 8641 及び JIS H 0401)は、要求品質特性付着量等から膜厚に変わり、より実態に沿った規格となりました。

 

そしてそれに伴い、記号も新たに付与され、より明確な表現となりました。

 

溶融亜鉛めっきに携わる方にとっては影響の大きい改正で、今まで長く使用してきた規格の変更のため、戸惑いも大きいと思います。

 

 

 

 

 

高濃度亜鉛末塗料の表現の変更

 

当社が溶融亜鉛めっきで携わっている補修塗料についても、表現が少し変更になりました。

 

 

従来のJIS規格では、

・不めっき部の補修方法は、高濃度亜鉛末塗料を用いるか、又は亜鉛溶射などを行う。

 

だったものが、今回の改正では、

・(中略)補修に使用する高濃度亜鉛末塗料の乾燥塗膜中の亜鉛含有率は、一例によると、質量分率92%以上と定めている[1]

 

と記載されています。

 

この「一例によると」という文言で誤解を招いてしまい、亜鉛含有率92%以上というキーワードでの問い合わせが急増しています。

 

 

今回の改正JISの読み解き方によっては、補修に使用する高濃度亜鉛末塗料は乾燥塗膜中の亜鉛含有率92%以上の製品であること。読み解いてしまいがちですが、「一例によると」がポイントになります。

 

このことについて溶融亜鉛めっき協会に見解を問い合わせたところ、あくまでも高濃度亜鉛末塗料の例を示したに過ぎないとのことでした。



実際、一文の最後につけられている “引用文献[1] “ は、ASTM規格(ASTM A780/A780M)を参照しており、そこに一例として92%と記載されているのです。

 

※ASTM規格

世界最大規模の標準化団体であるASTM Internationalが策定・発行する規格。

現在プラスチック・金属・塗料・環境・電子機器・医療サービスなど約130分野、約12,000種類以上の規格、試験方法などが制定されている。



 

引用元ASTM規格の補修塗料についての文章はもう少し長く、日本語訳すると、

 

「塗料中の亜鉛の濃度が65~69%の範囲で、乾燥塗膜にした際に約92%以上が亜鉛になる塗料のことを高濃度亜鉛末塗料と表現しているが、損傷した亜鉛めっき皮膜に使用する補修用塗料は溶融亜鉛めっき業者が選択した塗料で対応して良い。」

 

といった内容になっています。



つまりは、

 

「高濃度亜鉛末塗料という定義がはっきり定められていないため、ASTM規格に記載されている、亜鉛含有率92%以上の高濃度亜鉛末塗料という文章を参考にした。」

 

という一例を付け加えたのが今回の改定ということです。




 

上記の内容を簡単にまとめると、

今まで曖昧な表現であった「高濃度亜鉛末塗料」の定義を少しでも明瞭にするべきという流れがあり、それに対応すべくASTM規格にある92%という数字をあくまでも一例として取り入れた。

というのが今回の表現変更の原因です。




ということで、

あくまでも亜鉛含有率92%以上というのは参考数値ということになりますが、当社の補修塗料でこちらの基準に該当するものは下記の2製品。

ジンクZ96(乾燥塗膜中亜鉛末含有量96%

https://www.nissin-industry.jp/zincz96/

 

スーパージンク(乾燥塗膜中亜鉛末含有量92%

https://www.nissin-industry.jp/superzinc/



ちなみに当社の社内規格では、

乾燥塗膜中の亜鉛含有率が90%以上のものを「高濃度亜鉛末塗料」

90%未満の製品を「亜鉛末塗料」と呼んでいます。

 

これは、

「高濃度と言うからには、90%以上くらい入ってないと!」

という当社独自の基準となっています。



皮膜欠損部の補修には、亜鉛含有率をはじめとした防錆性能だけでなく、仕上がりの色調も重要になってくるため、

何を求めているかによって塗料の選択方法が変わります。

 

 

塗料の選択方法については、「亜鉛含有率と防錆力」のコラムも参考にしてください。

溶融亜鉛めっき、ジンクリッチペイントの亜鉛含有率と防錆力の関係性についてのコラムです。

 

 

 

当社は様々なご要望に対応出来るような製品ラインナップとなっております。

「結局どれを選んだら良いの??」とお悩みの際には、お気軽にお問い合わせください。

 

お問い合わせは、営業部(フリーダイヤル:0120−971−834)まで。

お客様に最適な補修方法を提案いたします!

 

製品一覧はこちらっ!!

https://www.nissin-industry.jp/comparison/

 

 

 

もし今後本改正について思い出したい際は、

日本溶融亜鉛鍍金協会ホームページ

<https://www.aen-mekki.or.jp/>

もしくは当コラムに来ていただけたら幸いです。

 

 

最後に日本溶融亜鉛鍍金協会様、情報提供ありがとうございました。

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