近年、労働基準監督署(労基)の調査への対応や、指導時の是正処置、リスクアセスメント強化による従業員の健康被害対策等の理由から、環境対応の製品の問合せが増えております。

そこで今回は塗料を取り扱うにあたり知って損はない、有機則・特化則について解説します。

塗装作業におけるリスクアセスメントとは

塗装作業場における危険性または有害性を特定し、それによる労働災害（健康障害を含む）の重篤度（災害の程度）とその災害が発生する可能性の度合いを組み合わせてリスクを見積もり、その大きさに基づいてリスクを低減するための対策の優先度を決めた上で、リスクの除去又は低減の措置を検討し、その結果を記録する一連の方法をリスクアセスメントといいます。

塗装作業を行う製造業や建設業等の事業者は、労働安全衛生法第28条の2により、リスクアセスメントの実施に努める必要があります。

一般的な溶剤塗料に含まれているトルエンやキシレンの規制により作業効率やコスト面に大きな負担を強いられています。

有機則(有機溶剤中毒予防規則)

工場など対象環境における有機溶剤の中毒・障害など人体への危険有害性予防などを目的として、有機溶剤の安全基準を定めた省令です。

労働安全衛生法に基づき、厚生労働省の管轄で定められています。　

有機則の対象となる主な有機溶剤

キシレン、トルエン、IPA(イソプロピルアルコール)、アセトン、酢酸エチル、メタノール、ノルマルヘキサン、MEK(メチルエチルケトン)、ミネラルスピリット、ガソリン等

有機則で指定された物質を使う場合は、主に以下のことが義務づけられます。

・有機溶剤作業主任者の選任

（有機溶剤作業主任者技能講習を修了した者から選任）

・定期特殊健康診断

（6ヶ月毎に1回、5年間記録保存）

・局所排気装置の設置

（例：周壁の2側面以上、かつ、周壁の面積の半分以上が直接外気に向かって開放されていること）

・作業環境の定期的な管理

（6ヶ月毎に1回、3年間記録保存）

・危険性等の掲示

・保護具の着用

違反した場合には、労働安全衛生法に基づき、3年以下の懲役又は300万以下の罰金〜50万円以下の罰金が課されます。

特化則(特定化学物質障害予防規則)

特化則とは、有機溶剤のうち特に発がん性、皮膚炎、神経障害等を引き起こすおそれがある物質の管理や取り扱いを規制する省令です。

 特化則の対象となる主な有機溶剤

エチルベンゼン、MIBK(メチルイソブチルケトン)、クロロホルム、ジクロロメタン等

特化則で指定された物質を使う場合は、主に以下のことが義務づけられます。

・作業主任者の選任

・蒸気の発散源対策の設備

（局所排気、プッシュプル型装置の設置、定期自主点検）

・屋内作業等における掲示

・作業環境測定

（6ヶ月毎に1回・30年間保存）

・特殊健康診断の実施

（6ヶ月毎に1回・30年間保存）

・作業記録の保存

（月単位で30年間保存）

・保護具着用、洗顔、うがいができる設備を作業エリアに設置

違反した場合には有機則同様、労働安全衛生法に基づき、3年以下の懲役又は300万以下の罰金〜50万円以下の罰金が課されます。

特化則が問題視された一因として、対象物質となった「エチルベンゼン」の存在が大きいです。

「エチルベンゼン」はキシレンの不純物でキシレンを使用していると嫌でも配合されます。エチルベンゼンを単体で使用することはほとんどないと思いますが、キシレンを使用しているということはエチルベンゼンが入っていると考えてほぼ間違いないです。

正確にはキシレンは３種類の異性体があり、そのうち1つはエチルベンゼンが入っていないピュアなキシレンがありますが、非常に高価なため使用する業者はほぼいません。

まとめ 

特化則で指定された物質を使う場合は、有機則の規制にさらに作業記録・作業環境測定・特殊健康診断の記録を30年間長期保管などの義務が追加となります。

◆特別有機溶剤の単一成分が1％を超えるものは「特化則」が適用され、有機溶剤の含有率が5％を超える場合は「有機則」が適用される。

◆特別有機溶剤の単一成分が1％以下で、かつ有機溶剤の含有率が5％以下のものについて、特別有機溶剤と有機溶剤の合計の含有率が5％を超えるものは「特化則」が適用される。

特化則・有機則対応塗料のご紹介

当社では、特化則・有機則に対応した「ジンクプラスシリーズ」を製造販売しております。

労働基準監督署に指摘され、切り替えを余儀なくされたお客様でも、従来品と作業性や性能が変わらないように設計されております。

当社の製品一覧の中で、「環境対応」と表記があるものは、全て特化則や有機則に非該当な製品となります。

是非チェックしてみてくださいね。

当社製品一覧はこちら →→→→→→ https://www.nissin-industry.jp/comparison/

ジンクプラスシリーズは、当社製品の中でも人気の高い、スーパージンクとラスタージンクからの切り替えを考慮して設計しております。

ジンクプラスシリーズはイニシャルで製品を分けており、

Sはシルバー、Lはライトシルバー、Mはメタリックシルバーです。

SとLとMなので、サイズかと間違えられがちですが、色調です。紛らわしくて申し訳ない。。

また、安全性と作業性、そして防錆性能を兼ね備えた水系エアゾールスプレー「アクアシールド」もラインナップしております。

アクアシールドの開発秘話はこちら

取り扱っている製品が有機則及び特化則に該当するかは、その製品のSDS「15.適用法令」にて確認できます。

当社製品のSDSはHP上に掲載しておりますのでご参照ください。

⇒資料ダウンロードページ

塗料選定にあたり「特化則」・「有機則」は、重要なファクターの１つです。

「もし労基が入ったら・・」と一度思い浮かべていただき、補修剤で気になることがありましたらお気軽に当社営業部（0120-971-834)までお気軽にご相談ください。

お問合せお待ちしてます。